デジタル・ルネサンスのメディアマーケティング

おそらく、今から100年後の歴史の教科書には21世紀の初頭に、「メディアの大変遷と復興(ルネッサンス)」が起きたと記述されていることだろう。

20世紀末に米国が開発した「インターネット」技術は、学術、民間を中心に広まり、企業や政治にまで影響を与えた。一番の影響は、21世紀に入り、マスメディアの意味が大きく変わったことだ。メディアの姿が大きく変わってきたことによって、エンドユーザーであった個人が目覚めたのであった。

21世紀の初頭。新聞には、記事ごとに、ブログとRSS機能とタグ情報が追加された。

テレビには、Tivo(ハードディスクレコーダー)機能が追加されメタデータが同時に配信され、テキスト検索が可能となった。そのことにより、視聴率にあらわれなかった視聴者層が現れ、番組に強い影響を与えた。

ラジオには、ポッドキャスティング機能が追加されるとともに、編成権が変わり、ラジオメタファーによる放送局が企業・個人を問わず乱立し、人気のあるコミュニティキャストがメディア化していく。

これらのことにより、川上から川下へという既存メディア経由の情報の流れが、川下の情報も川上に常にプールされ、リサイクルされる流れとなってきた。

さらに媒体別やメディアブランドによって、情報を選択していた行動パターンが、ネットを通じることによって、情報そのものにダイレクトにアクセスできるようになり、媒体価値の基準が大きく変わってきた。

それは、広告や購買のスタイルにも影響を与え、メディア企業でなくても、個人の発信する情報や日記にまでアフリエイトや広告代理店がつくこととなった。

商品購入のフローがこのように変わった。

マス・メディアでの商品・サービス認知。
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興味を持った人たちがネットで「検索」行動をとる。もしくはテレビの「検索ボタン」を押す。
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関連情報としての「企業サイト」「コミュニティ・レビューサイト」「購入者の日記」「類似商品・サービス」「価格サイト」などを検証・吟味する。
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ネット上での購入履歴および購入行動パターンが分析され、購入行動における科学的なマーケティングがなされる。
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広告費用、販売促進の経費に、RSS広告やTrackBackポイント、ポッドキャスティング広告、Tivoの再生時CM挿入などの項目が生まれる。
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TVの好きな番組を見て、評価を加えて情報を提供する。好きなラジオ番組を聴いて、気に入った番組を評価を加えて情報を提供する。それらが、オススメ情報として、編成されてプログラムされ、そのプログラムによって情報を得る人たちが多数となる。
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メディアを経由する情報の「編成」機能は、エンドユーザーに託されたが、多数のエンドユーザーが「編成」したいわけではなく、個別のメディア編成業が生まれた。「個別チャンネル」「あなただけのチャンネル」「チワワ好きで一人暮らしの女性のチャンネル」などなど。
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同じ嗜好の傾向のある人が集まることによって、広告のコンバージョンレートが高くなり、広告費やアフリエイトも向上する
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マスメディアよりも、コミュニティメディアの広告費が向上する。
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メディアに従事していた優秀な人たちや個人が、自分のメディアを作りはじめる。それをまたメディアが購入し、再配信をおこなう。
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情報のリサイクルが円滑化し、大手・個人を問わず、エンドユーザーは時には、プロシューマーとなり、情報リテラシーの高い「消費生産者」となる。
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それらの動きが、マス情報に左右されることなく、正しい情報を読み取るリテラシーをもった情報ネット市民(ネティズン)を形成するようになる。
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国家や宗教や人種、学閥、のすべてをオーバードライブした、生活・仕事・環境保護をデジタルで謳歌・復興できる時代、人間回帰としての情報時代の「デジタル・ルネッサンス」が生まれる。
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しかし、大多数が裕福層になるわけではなく、結果として、便利なデジタルは貧乏人の行動であり、不便なアナログは金持ちの消費行動という、「苦労は金で買う」という新たな価値観も生まれ始める。

100年待たずとも、あと10年くらいで世の中はこうなっていても不思議ではないとボクは思う。なぜならば、インターネットが第二の黎明期に突入していることを肌で感じているからだ。